校長メッセージ

2学期終業式

 今日で2学期が終わり、今年も残りわずかとなりました。皆さんにとってどんな2学期、どんな1年だったでしょうか。一人ひとりが、今年1年の行動を振り返り、良かったところは継続し、悪かったところはそのままにせず見直して、次の新しい年につなげてください。
 さて、先週の土曜日、私は、萩カトリック教会で行われた聖堂コンサートに行ってきました。本校の卒業生のピアニストの方や吹奏楽部、合唱部も参加したコンサートです。教会の中で聴く音楽はとても神秘的で、普段聞くものよりもさらに心に響き渡りました。音楽的センスが全くない私にもいろいろな感情を呼び起こさせるものでした。このコンサートの中でクリスマスの意味やクリスマスを迎えるまでの過ごし方についての話しもありました。私は、この学校に勤めて毎年のように、クリスマスの意味についての話しを聞いてきたので、自分ではよく理解しているつもりでしたが、今年また改めて聞くと、自分自身が本当にそのような行動をとっているか...と反省ばかりでした。私たちは、人には「こうあるべきだ」「こうしてあげなさい」と言いますが、自分はそのような行動をとっているでしょうか。時には自分を犠牲にしてでも、人のために行動しているでしょうか。口先だけでどんなきれい事を言っても、行動が伴っていなければすぐに見抜かれてしまいます。クリスマスの意味を知ることは、自分自身の行動を振り返る良い機会にもなります。私はこれまでも2学期の終業式では、クリスマスにまつわる話をしてきました。それは、やはりカトリックの学校に通っている皆さんには、クリスマスの本当の意味を知り、心の温かい人になって欲しいと願っているからです。一昨年は『シークレットサンタ』の話をしました。3年生は覚えていますか?その前の年は『クリスマス・セーター』の話をしました。1年生・2年生もこれらの本を読んで、クリスマスで大切なことは何なのかを考え、行動できるようになってください。
 今日は、クリスマスシリーズ第3弾として、「クリスマスに届けたいちょっといい話」「こころのチキンスープ」というシリーズの中にある『理想の兄』という話しを紹介します。
 ある年のクリスマス・イブのこと、ポールは、兄さんからクリスマスに新車をプレゼントしてもらった。
ポールがオフィスから出てくると、街でよく見かける少年が、そのピカピカの新車のまわりを歩き回っていた。よほどその車が気に入ったらしく、ポールに話しかけてきた。
「この車、おじさんのかい?」
「ああ、兄貴からのクリスマスプレゼントさ」
と、うなずきながらポールは答えた。少年はそれを聞いてひどく驚いた様子だった。
「えっ? おじさんの兄さんがくれたって?おじさんは全然お金を払わなくてよかったの?うわあっ、すごいな?ぼく・・・」
と、少年は何かを言いかけたが、そのまま口をつぐんでしまった。少年は、
「ぼくにも、こんな兄さんがいたらなあ」
と言いたかったのだろう、とポールは思った。ところが少年の口から出た言葉にポールは耳を疑った。
「ぼくね、おじさんの兄さんみたいになりたいなって思ったんだ」
ポールは、まじまじと少年の顔を見つめていたが、自分でも思いがけない言葉が口をついて出ていた。
「この車に乗ってみるかい?」
「本当? ウン」
車を走らせてまもなく、少年の目はキラキラと輝き始めた。
「おじさん、ぼくの家の前まで乗せてくれる?」
ポールは思わずニヤッとした。きっと、こんな大きな車で帰ってくるところを近所の人たちに見せて、自慢したいんだなと思った。しかし、その憶測はまたもやはずれた。
「あそこに階段がついている家が見えるだろう?そこでちょっと待っててくれる?」

少年は車を降り、駆け足で家に入っていった。しばらくすると家の中から、ゆっくりとした足音が聞こえてきた。少年が身体の不自由な弟を背負って出てきたのだった。弟を階段の一番下に座らせ、車がよく見えるように弟の身体を支えた。
「ほらバディー、見てごらん。さっき言ったとおり、すごい車だろ。
そこにいるおじさんの兄さんがクリスマスプレゼントにくれたんだって。それも、まるっきりタダでくれたんだって。お前も、待ってなよ。
兄ちゃんが、いつかきっとあんな車をお前に買ってやるからね。そしたら、いつも話してるクリスマスのきれいな飾りを、その車に乗って見に行こうね」
それを聞いたポールは何も言わずに車を降りると、少年の弟を抱き上げ、新車の助手席に座らせた。
目をキラキラ輝かせた少年もその横に乗り込むと、三人はドライブに出かけた。本当にすばらしいクリスマスのドライブだった。
このクリスマスの日、ポールは聖書のみことばをしみじみ感じたのである。
「受けるよりは与えるほうが幸いである」
 皆さん、いよいよ明後日はクリスマス・イヴです。今年のクリスマスは、皆さんにもこの御言葉のようなクリスマスを過ごして欲しいと思います。大切な家族・大切な友だちと素敵なクリスマス、そして良いお正月を過ごしてください。

9/4(日) 体育祭

前日までの雨が嘘のような晴天のもと、無事に体育祭を行うことができました。

今年も生徒たちの笑顔がキラキラ輝く、素晴らしい1日でした!!

【体育祭開会式あいさつ】
おはようございます。
いよいよ2022年度の萩光塩学院体育祭が始まります。今年は台風11号の影響で、いったいどうなるのかと毎日天気予報を見ながら、心配していました。いろいろなケースを想定して準備をしてきましたが、何事もなく今日無事に開催できることを大変嬉しく思います。これはきっと皆さんの日頃の行いが良いからでしょう。さて皆さん、最近ちょっと話題になっていた「青春ってすごく密」という言葉を知っていますか?ネット上では、今年の流行語大賞になるのではともいわれています。「青春って、すごく密」これは、この夏の甲子園で優勝した仙台育英高校の須江航監督が優勝インタビューの中で言った言葉です。今の中学生・高校生は、私たち大人が過ごしてきた時代と違って、コロナの影響で多くの活動が制限されています。そんな苦しい状況の中でも諦めないで、目標に向かって頑張り続けている高校生たちを称えて言われた言葉です。私は、今日の体育祭も、皆さんにとってかけがえのない濃密な時間となると思っています。今日は変にかしこまったり遠慮したりする必要はありません。密(密集)は避けながらも、皆さんの持っている熱い思いを爆発させ、「密な一日」(濃密な一日)にしてください。期待しています。保護者の皆様、本日は早朝より本校体育祭にお越しいただきありがとうございます。今年も、新型コロナウイルス感染防止のために様々な面で、ご不便をおかけすることになります。しかし、今日の第一の目的は、生徒たちのために、安全に体育祭を実施することです。保護者の皆様には、多くの制限をお願いしておりますが、どうかご理解とご協力をお願
いいたします。
また、先程、私が話した仙台育英高校の須江監督は、優勝インタビューの最後にこのように言われていました。「是非、全国の高校生に拍手をしてもらえたらと思います。」と。私も同じ気持ちです。コロナ禍の中にあっても日々努力している中学生・高校生、今日一日、全ての競技に一生懸命取り組んでいる中学生・高校生に、是非大きな拍手をいただけたらと思います。よろしくお願いします。
それでは今日の体育祭が、「濃密な時間」となることを願って開会の挨拶といたします。

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【体育祭閉会の挨拶】

皆さん、たいへんお疲れ様でした。
優勝した白組、おめでとう。残念ながら破れてしまった赤組もよく頑張りました。応援合戦も予行練習の時よりも格段に良くなっていて、応援団を中心にみんなが団結していく過程をしっかり見せてもらいました。ありがとうございま
した。開会式で私は、「今日は変にかしこまったり遠慮したりすることはない。持っている力を思いっきり爆発させて、濃密な一日にしてください。」と言いました。皆さん、濃密な一日になりましたか?!大きな声での返事、ありがとう!開始直後は少し遠慮していたよう見えましたが、徐々に中学生・高校生らしいはつらつとした姿を見ることができとても嬉しく思いました。この一週間、皆さんは、みんなと協力しながら物事を進めていく難しさを知り、そして今日は一つのことをやり遂げた充実感を感じたと思います。是非この経験をこれからの学校生活の中でも生かしていってください。特に中学・高校の3年生は、今日発揮したパワーを今度は進路実現に向けてもう一度発揮してください。1年生・2年生は先輩方の姿をお手本に、来年度に向けての取り組みを始めてください。お願いします。
保護者の皆様、本日は最後まで体育祭をご観覧くださいましてありがとうございます。生徒たちの若さ溢れる生き生きとした姿から元気をもらえたのではないでしょうか。生徒たちも今日皆様から頂いた大きな拍手を励みにして、今後の学院生活を頑張ってくれることと思います。本日は本当にありがとうございました。最後に「濃密な一日」をありがとう!

8/29(月) 2学期始業式

おはようございます。今日から2学期が始まります。44日間の夏休み、皆さんはどのように過ごしたでしょうか?毎日部活動に参加した人。宿題を計画的に行った人。逆に、毎日ダラダラと過ごし、今慌てている人...。色々な人がいると思いますが、これまでの自分の時間の使い方でこれからが決まってきます。今日から始まる2学期が、大変なスタートになるか、ゆとりあるものになるかは、皆さん一人ひとりの夏休みの過ごし方次第です。2学期早々、担任の先生や教科の先生、部活動の先生から注意されることがないと信じたいものです。
 さて、皆さん、この夏、甲子園での下関国際高校野球部の活躍を知っていますか?野球に興味がある人はもちろんですが、興味のない人でもその時の話題のニュースとして、また私たちの身近な出来事として、そして同年代の中・高校生として是非知っておいて欲しいことです。さらに、そのことから何か見習うべきものを見つけ、私たちが学校生活を送る上での良い手本にして欲しいと思います。
 知らない人のために簡単に紹介します。下関国際高校は、第104回全国高校野球選手権大会=夏の甲子園大会で準優勝しました。準々決勝では、春の選抜甲子園大会の優勝校で今回も圧倒的優勝候補だった大阪桐蔭高校を破り、準決勝では春の準優勝校・近江高校も破り、全国屈指の強豪校を次々と破って決勝まで勝ち上がりました。山口県代表としては37年ぶりの決勝進出。決勝戦では残念ながら仙台育英高校に敗れてしまいましたが、私たちに「山口県勢64年ぶりの優勝」という大きな夢と明るい話題、勇気、元気を届けてくれました。下関国際高校は、山口県内に20校ある同じ私立学校として、校長会や研修会などで日頃から大変お世話になっている学校のひとつです。今回、私も含めて多くの人が下関国際高校の選手たちに心を奪われたのは、甲子園という大舞台で活躍したからだけではありません。暑い炎天下の試合の中でも決して弱音を吐かず、手を抜く選手が一人もいない。攻撃と守備の交代の時には全員が全力疾走する。常に声をかけあいながらチームメートを信じて戦う。これまで教わったきた基本的な技術や約束を確実に守る。選手一人ひとりのプレーの中に、監督を信じ、毎日一生懸命ひた向きに取り組んできた様子が随所に見られたからです。野球をやっている人からすれば当たり前の事ですが、それをやり続けることは簡単なことではありません。この夏の下関国際高校の快進撃は決して「まぐれ」や「ラッキー」などではなく、ここに至るまで選手一人ひとり、監督、そしてチームを支える人たちが、苦しい時期から、悩んだり、苦しんだり、もがいたり、泣いたりしながら地道に努力を重ね続けた結果です。だからこそ、山口県民だけでなく全国の多く人たちの共感を集めたのでしょう。
皆さんはどうですか。今の時代、家や学校では、ギリギリまで追い込むような厳しい指導はしません。皆さん一人ひとりが、目標に向かってどのような気持ちで、どのように時間を使い、どこまでやるか...自主性が求められています。ただ、それに甘えて逃げていては高い目標は決して叶えられません。特に中学・高校の3年生は、今進路実現に向けて本当に努力していますか。上手くいかないことを他人のせいにしたり、言い訳ばかりしたりしていては、夢は叶えられません。部活動でも勉強でも自分の取り組み方は自分が一番よくわかっているはずです。下関国際高校の選手たちが特別な訳ではありません。皆さんにも同じような力と可能性が秘められています。ぜひ最善を尽くしてください。それが大事だということを今回改めて下関国際高校の選手たちから学ばせてもらいました。これからの皆さんの取り組みと頑張りに大いに期待しています。

5/13(金) 朝礼のことば

おはようございます。5月は新緑のシーズンで、気候も良く爽やかな季節です。ふと周りに目をやれば、青い海と新緑の山々、そして黄色い夏ミカン、色とりどりの花々などきれいな景色をたくさん観ることができます。気持ちの良いこの季節を体感し、学習や部活動に取り組む活力にしてください。

さて、昨年まで私は、月初めの金曜朝礼で毎月の月目標について話しをしてきました。しかし今年からは、月目標については先生方にお任せして、月に一度自由なテーマで話すことにしました。自由なテーマで話すことは、気楽でよいのですが、何を話すか悩みます。中学校1年生と高校3年生では、持っている知識や理解できる言葉、そしてこの学院で過ごしてきた時間も違うので、どう話すか本当に悩みます。

私の場合、皆さんに話すテーマを決める時は、基本的に次の3つの中から選びます。1つ目は、『こんな人になって欲しい』と思うことを本校の建学の精神を交えながら伝える。2つ目は、毎日の皆さんの様子を見ていて、ぜひ伝えたいと思ったことを自分の体験などを取り入れながら伝える。そして3つ目は、自分が良いなと思った偉人の格言や行いをわかりやすく伝えることです。私を含め、先生方の話しを聞く時には「長いな~」と思うのではなく、「何を言いたいのかな?」と耳を傾けながら集中して聞いてみてください。きっと皆さんが成長するために必要な大切なメッセージが込められているはずです。

さて、新年度が始まって1か月が経ちました。1年生の皆さんは新しい学校生活に慣れましたか。本校の中学校から高校に進学した人も、場所は同じでも高校という新しい生活環境に馴染めていますか。また2年生、3年生に進級した人たちも、新しいクラスや授業に上手に取り組めていますか。まだ新しい友だちができない、勉強についていけない、など学校が楽しくないと感じている人もいるかもしれません。そんな人は「5月病」かもしれません。

5月病というのは、進学や就職、異動や転勤などで、それまでとは違う新しい環境に入った人が、自分が考えていたものと違う状況に対処しきれず、その環境に不安を感じたり、目標を失って虚脱感を感じてしまったりする状態のことをいいます。5月病になりやすい人は、どちらかというと真面目で完璧主義、きちんとやらないと気が済まない人だそうです。だから今、この「5月病」を経験している人も多いのではないでしょうか。逆に今の生活が楽しい、充実している、と感じている人は5月病をうまく乗り越えた人です。ちなみに外国には「5月病」というものはないそうです。そもそも外国は新しい年度のスタートが4月ではなく、アメリカは9月、韓国は3月で、国によって新年度のスタートは様々です。また考え方も国によって違い、南米には、少々悩んでいてもそれを病気と見なさない国もあるそうです。世界に目を向けるといろいろと違いが見えてきます。多様な考え方を知ることも5月病解消の手掛かりになります。

話を戻しますが、5月病のように新しい環境に馴染めなかったり、自分の思っていた状況と違うと感じて落ち込むことは、誰でも経験することです。今悩んでいる人だけが特別というわけではないので、安心してください。この5月病をうまく乗り越えるコツは、物事を如何に楽観的に考えられるか、そして如何に肯定的に受入れることが出来るか、にかかっていると思います。

私の体験を例に話します。私は、元々物事を楽観的に考える方で、一つのことをずっと考え込むタイプではないので、5月病をあまり意識したことはありません。しかし今から10年ほど前にすごく悩んだことがあります。とにかく嫌で、毎日毎日現実から逃げることばかり考え、長い時間悩み続けました。最終的には、自分で結論は出したものの、自分の中で消化しきれず、その後もグチグチと考え込んでいました。今思い返せば、考えれば考えるほど追い詰められていたように思います。そんな時、2人の人にこんな言葉をかけられました。

一つ目は「自分で決めたことなのに、いつまでも悩んでいるなんて先生らしくないですよ」もう一つは「あなたは、変わらなくていいのよ」という言葉です。

当時の私は、頭の中では「受入れよう。理解しよう」と言い聞かせ、心の中は「どうしても嫌だ。受け入れられない」とバラバラでした。しかし、この2つの言葉のおかげで、「もういいや、なんとかなるさ‼」と良い意味で開き直り、本来の楽観的でPositiveな自分らしさを取り戻すことができました。そしてグチグチと過ごしてきた日々を反省し、二度と人前でそんな姿は見せまいと自分に言い聞かせました。

ここで私が皆さんに言いたいことは、もし私がNegative、つまり否定的な考え方しかできなかったら、どうだったでしょうか。例えば「自分には教員としての才能がない」とか、「こんなに悩んで、どうせ自分なんてダメな奴なんだ」と思い込んでしまっていたでしょう。そして私が今ここで頑張っていることはなかっただろうし、皆さんにこうして話しすることもできなかったでしょう。あの時私は、考え、悩み、迷いましたが、この件を機に、引き続き頑張っていこうと決めることが出来ました。それ以降悩むことがあっても(あの時に比べると大したことないな)と考えられるようになりました。

辛いことをプラス思考で前向きに変えていくことで、何だか仕事も生活も楽しくなります。また自分が前向きな気持ちでいると、周りにいる人にも良い影響を与え、その人たちも楽しくなります。本校のモットーである「自分の周りに喜びと光をまく人になる」ために必要なことでもあると思います。

さぁ皆さん、今はいろいろ悩み、迷いながら青春していると思いますが、まずは「5月病」に負けないようPositive思考で楽観的に自分の明るい未来を切り開いていこうとしてみてください。今月は中間試験もあります。嫌で嫌でたまらないテスト勉強も「為になる為になる」「テストが終わったら遊びまくってやる!」と前向きに考えながら、計画的に学習を進めていきましょう。

4/8(金) 入学式

午後から中学校と高校の入学式を行いました。新入生の皆さん、入学おめでとうございます!

これからの学院生活、思いっきり楽しんでくださいね!

【校長式辞】

 柔らかな春の日差しのもと、新緑の美しさに心が躍り、これから始まる明るい未来を予感させてくれます。
只今入学を許可いたしました中学校十九名、高等学校七十五名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を心から祝福し、歓迎いたします。また保護者の皆様にもお子様のご入学を心からお祝い申し上げます。
 さて、新入生の皆さん、皆さんは今どんな中学校生活、高校生活を思い描いていますか。新しい環境・新しい友達との出会いに、大きな希望を抱きながらも、少しばかりの不安も感じていることでしょう。今年も新型コロナウイルスの影響で、十分な入学説明会を実施することができず、不安も残っていることと思います。残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大と社会の混乱は、未だ収束への見通しが立っていません。入学後も感染拡大の状況によっては、学習や部活動、学校行事などに大きな影響を与えることになるかもしれません。コロナが収束に向かうまで、もうしばらく、この状況とどう向き合っていかなければいけないのか、皆さん一人ひとりが真剣に考え行動していくことが求められています。しかしながら、私は、それと同時に、このような状況下でも、悲観ばかりするのではなく、今日無事に入学式を行うことができたことに感謝し、これから始まる新たな学校生活に大きな希望を持って、自分の目標に向かって力強く前進していって欲しいと願っています。皆さんが萩光塩学院の生徒として、これからの中学・高校生活を有意義に送り、人間的に大きく成長するために、私から皆さんに三つのことを伝えておきたいと思います。
 一つ目は、皆さんには『光り輝く可能性がある』ということです。皆さんは、これからの三年間、自分の内側に秘められた可能性を信じ、自分の素晴らしさとはいったい何であるかを探し求め、その可能性に向かって、自分に厳しく努力する人であってください。
 二つ目は、皆さん一人ひとりは『尊い存在であり、かけがえのない存在』だということです。皆さんには、他人とは違った素晴らしい能力と個性があります。これからは他人と比較するのではなく、自分の中にきちんとした目標を設定し、自分に合った方法で自分の道を一歩一歩着実に歩んでいくよう心がけてください。
 そして三つめは、皆さんは決して一人ではなく『多くの人とのかかわりの中で、共に支え合いながら生きている』ということです。これからの学校生活の中で、学習面や人間関係などで困難な状況にあった時、家族はもちろん、友だちや先生方の支えによって困難を乗り越え、その大切さを感じることがあるでしょう。そのときの想いを忘れず、人との繋がりの大切さを学ぶことができる人であってください。
今話した三つのことは、これからの三年間の学びだけで終わるものではなく、生涯をかけて学び続けていく事柄でもあります。萩光塩学院に入学したことをきっかけに、今日からその学びをはじめてください。
本校では、学習に力を入れて取り組むことはもちろんですが、それ以外の学校行事、部活動、ボランティア活動、国際交流活動などもとても大事にしています。それは皆さんが幅広い活動をすることによって、多くの経験を積み、頭と体と心を鍛え、さらに人とのかかわりをとおして、バランスの取れた豊かな人間として成長することができるようになると考えているからです。新型コロナの影響で、どこまで活動できるかわかりませんが、感染状況をみながら、できる限り皆さんに多くのチャンスを提供していきたいと考えています。ですから皆さんもそのチャンスを生かして、自分が持っている良いものを伸ばし、ここで出会った友人の優れているところに学び、お互いを高め合うことのできる人になってください。
 保護者の皆様、今日から大切なお子様をお預かりすることになりました。大変嬉しく思うと同時に大きな責任も感じております。これからは一人ひとりの生徒が秘めている力を思う存分発揮し立派に成長できるよう、私たち教職員も全力を尽くしてまいります。どうか温かいご支援とご協力をお願い申しあげます。
 最後に、先ほど読まれた『あなたたちは世の光です。あなたたちは地の塩です。』という聖書の言葉は、これからこの学院で学ぶ皆さんに対して、限りない期待と信頼をあらわした言葉です。皆さんが「世の光・地の塩」という本校の建学の精神に沿って、将来社会に貢献できる人となれるよう祈念し、お祝いの言葉といたします。

                                    二〇二二年 四月八日

                                    萩光塩学院中学・高等学校校長  中村 柔道

4/8(金) 始業式

2022年度のスタートです!新しい一年も生徒の笑顔で溢れますように。

今年度は新しい先生を4人お迎えしました。
数学科に秋枝先生、芸術科に古根川先生、宗教科に外川神父様と大西神父様。
よろしくお願いします。

 おはようございます。今日から2022年度が始まります。新2年生・3年生になった皆さん進級おめでとうございます。
この1年は、中学・高校の3年生にとっては、それぞれの学校生活の集大成として、進路実現に向けた仕上げの年になります。中学・高校の2年生にとっては、将来を見据えながら、力を蓄え、あらゆることにチャレンジする年になります。今日は、そんな皆さんに、1年のスタートの日として、1つだけ伝えておきたいことがあります。
 それは、毎日の生活の中で「自ら学び、自ら行う」ということを常に意識して過ごして欲しいということです。私たちには、知らないこと、分からないこと、できないことが沢山あります。だから、より良い中学生・高校生・社会人を目指して、学校に通いながら多くのことを学び、訓練して、今以上に自分を高めようとしています。先生方から多くのことを教えてもらったり、手本を示してもらったりすることも大切ですが「誰かがやってくれる」という人任せな姿勢では、結局のところ何も成長しません。誰かの助けを待つのではなく、「自ら学び、自ら行う」ことが本当に重要なのです。「自らなす」という行為は、学校だけで終わるものではありません。社会人になっても常に求められます。むしろ、社会人の方が強く求められるかもしれません。だからこそ、将来の夢の実現のために、今、このような考え方や力を皆さんに身につけて欲しいと思っています。部活動も含め、「学ぶ」ということは、今日より明日、明日より明後日といったように、未来に向かって成長する自分を目指して、自分自身への挑戦を続けることです。
 私は、光塩に通う全ての生徒に、勉強や部活動、ボランティア活動など様々なものにチャレンジして、多くの感動を味わって欲しいと願っています。そして、その感動を次のステップにつなげていってくれることを期待しています。
今年度は「自ら学び、自ら行う」ということを強く意識して、新たな学年を過ご
してください。
 今日の午後からの入学式には、19名の中学1年生と75名の高校1年生が、私たちの仲間に加わります。去年、おととし、皆さんの味わった新鮮な気持ちや緊張感を思い出しながら、これからは先輩として、新しい仲間を気持ちよく受け入れ、この学院が大切にしていることを伝えていってください。私たち一人ひとりが原点に立ち返りながら、「自らなす」ことで感動が生まれ、それが周りの友だちに広がり、今以上活力溢れる学校となるよう期待しています。

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3/18(金) 3学期終業式

おはようございます。早いもので、今日で一年が終わります。2月28日には高3が、3月12日には中3が、この学校を巣立って行きました。多くの制限があった卒業式でしたが、皆さんの協力のおかげで素晴らし卒業式になりました。ありがとうございます。
みなさんにとって、令和3年度はどんな1年だったでしょうか。中1・高1の皆さんは、光塩に入学し、それまでの学校生活との違いを感じたことでしょう。中2・高2の皆さんは、自分の夢の方向を定めるのに苦労した一年だったのではないでしょうか。はっきり言えば、今年度もコロナに振り回され、計画どおり進まなかった一年でした。そんな中でも、その時最適と思われる工夫や変更を繰り返し、乗り越えてきましたが、皆さんも多くのストレスや窮屈さを感じながら、それぞれの目標に向かって日々取り組んできた一年だったと思います。来年度こそは、コロナが収束し、勉強も学校行事も部活動も通常どおり実施でき、皆さんの若い力を思いっきり爆発させて欲しいと思っています。
さて、今日は、一年の締めくくりとして、電気機器メーカーSONYの創業者の一人である井深大(いぶかまさる)さんの話をしたいと思います。敏感な人、私の話しをよく聞いている人はすぐピンときたと思いますが、2学期の終業式では、パナソニックの創業者松下幸之助さんの話をしました。今年度の私の話しは、皆さんの身の周りに必ずある日本を代表する世界的な電気機器メーカーの創業者の話しばかりです。私が、電気機器メーカーが好きだとか、創業者に憧れているとかいう理由からではありません。何かを成し遂げた人は、それまでの多くの失敗や挫折の中から、自分なりの考えを見つけ、決してぶれない信念を持って行動していました。そして、その考えを後世の人にしっかりと伝えています。皆さんには、毎日の生活の中で、PanasonicやSONYの電化製品を見たら、私の話しを思い出し、自分の生き方の参考にして欲しいと思っています。また私は、今年度の高校・中学校の卒業式の式辞の中で、この井深さんの考えから学んだことをメッセージとして伝えました。同じことを皆さんにも再度伝えたいと思います。
井深大さんは、盛田昭夫さんとともにソニーの創業者として知られ、1950年に日本初のテープレコーダーを開発、発売しました。その5年後に日本初のトランジスターラジオを開発し、1979年にウォークマンの発売によりソニーを世界的大企業に育て上げました。井深さんが残した言葉はたくさんありますが、まず皆さんに伝えたいのは、「ハイテク化すればするほど、人間と人間の関係が非常に重要になり、人と本当にうまくやっていける人間が必要となってくるんです。21世紀になったら人間とか愛情とかいうものがますます重要なファクターになってくると思うので、自分に磨きをかけ、人との関係を大切に心がけていく必要があると思います」「物理も化学もすべてそういうものは道具と考えると、必要なときに勉強しても遅くはないけれども、哲学とか信念とかいったものはなかなかおいそれとは育たない」という言葉です。
これらの言葉は今から30年以上前にソニーの社内報で紹介されたもので、そこには、大事なことは技術そのものではなく、技術を支える哲学である。言い換えれば人間一人ひとりの深い考え方にあるという思いが込められています。井深さんは少年期に無線などに凝り、早稲田大学理工学部時代にすでに発明家としての頭角を現していました。根っからの技術者でしたが、革新者として傑出した才能を発揮できたのは、感性が豊かであったからだと言われています。井深さんは、企業経営の傍ら1972年にソニー教育振興財団を設立し、理事長として幼児教育に深く関わってこられました。その頃には、こう言われていたそうです。「私も当初、間違えていました。早く字や算数などを教えるのが大事だと思っていましたが、本当は心をいちばん先に教えなくてはいけないのです」と。その後も発明協会の会長など多くの団体の役職を歴任され、84歳で産業人として初の文化勲章を受章し、21世紀の状況を見据えながら1997年に89歳で亡くなられました。
現在、IT技術の発展は目覚ましく、AI技術は様々な仕事にも応用できるまで発展してきました。しかし、皆さんがこれからの社会を生き抜く為に必要な能力とは、AIがまだまだできていない、人と人とのかかわりの中で、相手の気持ちを感じとり、コミュニケーションをとったり、交渉したりする力だと思います。根っからの技術者であり、その分野で活躍し、功績を残してきた井深さんが「時代がどんなに変わってハイテク化されても、やっぱり感情や愛情といった人としての心や考え方が大切だ」と言われているのです。

中学・高校生活の中で、これからもっともっと多くのことを学んでいく皆さんですが、まずは、このことを大事にしてください。
井深さんは、若い人たちにもメッセージを残されています。それは、「一つは、自分自身を大切にすること。自分を生かすということと合わせて、それと同じくらいのウエイトで、他人のために、社会のために何かできることはないか、ということを考えて欲しい。また、そういう気持ちを、ぜひ持って欲しいということです。もう一つは、しっかりとした生きるよりどころを、ぜひ持ってもらいたい」というものです
中高生の皆さんには、自分の力に自信を持ち、じっと待つのではなく自らが積極的に求めなければ、何も手に入れることはできないということを、今一度、理解して欲しいと思っています。自分の進むべき先をしっかりと捉え、自分の可能性を信じ、来年度、力強くスタートしてくれることを大いに期待しています。

2/28(月) 高校卒業式

高校の卒業式を行いました。

コロナ感染対策のため、今年の卒業式は歌が歌えませんでした。それでも、本日無事に3年生を送り出せたことに安堵しました。

卒業生の今後の活躍に期待しています!

 冬の寒さも和らぎ、春の息吹が感じられる季節となりました。本日ここに2021年度萩光塩学院高等学校卒業証書授与式を挙行できますことを心より感謝申し上げます。保護者の皆様におかれましては、お子様の成長された姿に感慨もひとしおのことと思います。お子様のご卒業をお慶び申し上げますとともに、これまで本学院が賜りましたご支援とご協力に深く感謝いたします。誠にありがとうございました。
 卒業生57名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。本日、皆さんは高等学校の全課程を修了し、卒業の日を迎えました。これは様々な困難を乗り越え、最後まで全力で頑張り抜いた証です。改めて皆さんの真摯な努力に心から敬意を表します。
 さて、2020年度、21年度の二年間、私たちはコロナ禍という予測不能の事態に直面しました。皆さんが一番楽しみにしていた修学旅行や多くの経験を期待していた国際交流、そして学習の集大成として卒業前に行うコース・文化部発表会は中止せざるを得ませんでした。学習活動をはじめ、その他の学校行事、また部活動でも度重なる変更をし、様々な工夫を取り入れ、この状況下において最適な方法を探りながら、皆さんと共に乗り越えてきました。皆さんは学校生活の中でも、多くのストレスや窮屈さを感じていたことでしょう。それでも目標とする進路実現のため、日々努力を続けていた姿は、私たちの希望でした。しかし、視点を変えれば、この二年間は、これからの予測不能な社会への序章であったとも受け止めることができます。大切なことは、このような状況下で「できなかったこと」に対して不満を抱くのではなく、この経験を私たちにとって価値あるものにするために、どのように未来につなげていくかということです。
 皆さんが進むこれからの社会は、変化の著しいものとなるでしょう。これまでの常識がすぐに変わってしまい、その激しい変革に戸惑うことも多いと思います。現在、IT技術の発展は目覚ましく、AI技術は単純作業だけでなく、長年の熟練の技や知識を必要とする仕事にも応用できるまで発展してきました。そうなると人間をAIが凌駕し、人間の尊厳が脅かされることも増えるでしょう。私は、これからの社会を生き抜く為に必要な能力とは、AIが不可能という答えを出した時にこそ本領を発揮できる力だと考えています。それが人間の果たすべき役割、人間が担うべき仕事において求められる力だと思っています。つまり、世の中がハイテク化すればするほど、人と人との関係が重要になり、相手を受け入れ、相手に受け入れられ、人と上手にかかわっていける人が社会の中で本当に必要な存在となっていきます。このような時代だからこそ、思いやりとか信頼とか愛情とかいうものがますます重要になってくるのです。
 以前も話したことですが、2019年の11月に来日されたローマ教皇フランシスコは、大学で行ったスピーチの中で、若者たちに対して「どんな複雑な状況にあっても自分たちの行動が公正かつ人間的であり、正直で責任を持つことを心がけ、弱者を擁護するような人になってください。言葉と行動が偽りやごまかしであることが少なくない今の時代において、特に必要とされる誠実な人になってください。」と話されました。ローマ教皇が話されたのは、まだ世界中にコロナが蔓延する前のことでしたが、「どんなに複雑な状況」とは、正に、今とこれからのことではないでしょうか。
 萩光塩学院は、ゆるぎない建学の精神と教育の理念をもって教育活動を行っています。宗教の授業や学校行事など全ての学院生活の中で、これからの時代にこそ必要な人と人とのかかわりの大切さ、それを感じ取ることのできる感性の大切さを皆さんに伝えてきました。一年間の月目標である「出会い」「かかわり」「ゆるし」「喜び」「自由」「協力」「信頼」「希望」「感謝」「平和」「愛」そして「使命」。この十二個の目標の中にもその思いがしっかりと込められています。これから大学や社会で多くのことを学び、活躍していく卒業生の皆さんには、これらのことを強く意識し、さらに自分を磨きながら、人と人とのかかわりを大切にする人であり続けて欲しいと願っています。
 卒業生の皆さん、皆さんの未来は皆さん自身がつくります。自分は何をするべきかという主体性と自分はやればできるという自己肯定感、そして自分は人の役に立っているんだという自己有用感をしっかりと持って新たな道を歩み始めてください。皆さんの未来が光輝くものになることを祈り、私からのお祝いの言葉といたします。
二〇二二年二月二十八日    萩光塩学院  校長  中村 柔道

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2/18(金) 朝礼のことば

 高3の卒業試験も終わり、いよいよ別れの時が近づいてきました。2月は中3・高3の皆さんにとって、中学・高校の総仕上げと次に来る新しい生活のための準備の期間です。残されたわずかな時間を大切に過ごすよう心がけてください。
 さて、今月の学院のテーマは『愛』です。生徒の皆さんは『愛』と聞くと、まずは恋愛のことを思い浮かべるでしょう。しかし、私たちの生活には、恋愛以外にもたくさんの『愛』があふれています。『家族や友だちへの愛』『仕事や生活や環境への愛』そして『自分自身への愛』。愛は、私たちの人生に楽しみを与えてくれて毎日を充実させてくれます。私は、人生を楽しむためにはさまざまな種類の愛が必要で、人生を楽しんでいる人にこそ、愛は近づいてくるものだと思っています。そして、愛を引き寄せるためには時に努力も必要です。
 今日は、そのためにどんな努力が必要なのか、どんな行動を心がけなければいけないのかについて話したいと思います。まず、聖書の中には『愛』とは、友のために命を惜しまず尽くしていくこと、困っている人を見て、言葉や口先だけでなく行いをもって誠実にかかわること、ねたまず・高ぶらず・誇らないこと、利益を求めないこと、愛には偽りがあってはならないことなどが述べられています。
 私たち一人ひとりが『愛』を形にしていくためには、まず1つ目として「相手の言葉に耳を傾けること」が大切です。何も言わず、ただじっと最後まで相手の話を聞くのは意外に難しいものです。特に自分の意見や気持ちが誤解されていると感じる時は、ついつい途中で訂正したくなります。しかし、まずは相手の話を遮らずに耳を傾けましょう。そこから愛は近づいてきます。2つ目は「包み隠さず共有すること」です。ワクワクするもの、便利なもの、素敵なものに出会ったら、それを惜しみなく他の人にも教えてあげましょう。本当に素晴らしいものに出会った時、人に教えてあげるのが惜しく感じることがあるかもしれません。しかし、包み隠さず共有することがさらなる愛を引き寄せるのです。3つ目は「非難せずに話すこと」です。どんなにつらいことがあって傷ついたとしても、相手を攻撃してはいけません。悪口を言うことは、自分から愛を遠ざけてしまうことになります。4つ目は「文句を言わず楽しむこと」です。「愚痴や文句」は言おうと思えばいくらで
も言えてしまうものです。でもずっと文句ばかりを言っていたら、楽しい気持ちでいることはできません。人にも環境にも優しく接し、目の前の出来事を楽しむことが大切です。最後は「他者に惜しみなく与えること」です。何かを人に与える時、つい自分の分を残してからにしたり、あげても特に自分が困らないようなものをあげたりしていませんか?愛を伝え、自分にも愛を引き寄せるには、物にしても気持ちにしても、見返りを求めずに、まず自分から全てを与えることから始めなければいけません。
 私は、愛とは、他人の命を救うような仰々しいことだけではないと思います。今、皆さんに伝えた5つのことを心がけて行動してさえいれば、自分や他者の周りに愛があふれていくのではないでしょうか。卒業していく3年生、これからも自分の周りに優しさと微笑みの絶えない『愛』がいっぱいの環境を作っていってください。

1/7(金) 3学期始業式

 おはようございます。そして、あけましておめでとうございます。
 令和4年、新たな年がスタートし、今日から2021年度を締め括る3学期が始まります。2学期の終業式に、「1年の計は元旦にあり」という言葉を紹介しました。その中で何事も最初が肝心で、新たな年の初めに目標を持ち計画を立てることは、その年の充実度を左右する大切なことだと話しました。みなさんは、自分で目標を決め、計画することはできましたか?生徒の皆さん全員に考えて欲しいのはもちろんでが、特に中3、高3といった今年節目を迎える学年の人たちには、「自分はこうするんだ!」という強い決意を表して欲しいと思っています。是非、家族や担任の先生に皆さんの目標を伝えてみてください。
 さて、年末から新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株が流行し始めています。山口県でも岩国市を中心に感染者が増加してきています。感染者が増えてくると様々な憶測や噂話、誹謗中傷が始まります。このようなことは、学校の中では、決して起こって欲しくはありません。新型コロナウイルス感染症の怖さは、病気と共に、人々の中に不安や差別を生んでしまうことです。そこで、今日は、田中角栄という元内閣総理大臣の言葉を紹介します。「人の悪口は言わないほうがいい。言いたければ便所で1人で言え。自分が悪口を言われたときは気にするな。」という言葉です。言っているのは当たり前のことですが、実践するのはなかなか難しいことです。悪口を直接言わなくても、友だちと陰でコソコソと話すことも悪口を言っているのと同じです。陰で言われた人にとっては、噂話も悪口と同じです。悪口は聞いていて決して気持ちの良いものではありません。たとえ親しい間柄であっても、悪口は絶対に口にしてはいけません。悪口はいずれ自分にも返ってきます。もし、万が一、誰からとなく悪口が始まってしまうことがあったら、最後に必ずその人の良いところを皆で伝え合うようにしください。皆さんの中に「悪口を言っているときに良いところを言うとKYと思われて、自分が仲間外れにされてしまう」と思ってしまう人もいるでしょう。そんな時は「だって校長先生が言えって言ったじゃん!」と付け加えてください。本当は言わない強さ、注意する強さが欲しいのですが、難しいもの事実です。ですが、人が言う悪口を聞いているだけの人も、悪口を言っている人と同じです。こうした悪口は、いくら親しい仲間の内緒話しであっても、必ず相手に伝わります。だから、どうしても言いたい場合は、誰にも聞かれない「便所で1人で言え!」です。また、反対に「自分が悪口を言われたときは気にするな。」というのも、なかなか難しいですね。これは、たぶん「自分の気持ちを強く持て」という意味だと思います。人は、不安になればなるほど、相手の悪口や欠点を言いがちです。でも、それはしないほうが良いのです。まさに、田中角栄元総理の「人の悪口は言わないほうがいい」という言葉は、そんな「戒め」なのかもしれません。光塩のみなさんは、相手の悪口を言うのではなく、「誰にでも良いところはある」と理解できる「広い心」を持って欲しいと思います。一人ひとりが、自分のまわりの人たちに目を向け、相手の良さを発見できるようになってください。同時に、自分の良いところもみつけ、自信を持って自分磨きもしてください。そのことがきっと、みなさんが、年の初めに心に誓った夢や希望の実現に向けて、必ず大きな力となるはずです。目標の実現のためには、自ら努力することが絶対条件ですが、自分の力だけでは難しいことあります。友だちや先生など、周りの人たちの協力や助けがあってはじめて実現できることがあることも忘れないでください。最後に、もう一度「人の悪口は言わないほうがいい‼」みんなさん一人ひとりの頑張りに期待し、2022年が素晴らしい年になるように祈っています。

12/23(木) 2学期終業式

今日で2学期が終わり、今年も残りわずかとなりました。皆さんにとってはどんな2学期、どんな1年だったでしょうか。一人ひとりが、今年1年の行動を振り返り、次の新しい年につなげてください。

さて、2学期の始業式で私が話したことを覚えていますか?始業式では皆さんにある人物の言葉を紹介し「終業式で覚えているかどうか確認します」と言いました。さて、どれだけの人が覚えていて、この2学期を過ごしたか確認してみましょう。(確認)

私が、始業式で話したのは、電気機器メーカー、パナソニックの創業者松下幸之助さんが言った「どんなに悔いても過去は変わらない。どれほど心配したところで未来もどうなるものでもない。いま、現在に最善を尽くすことである。」という言葉です。

 人間は誰もが、過去の行動について後悔し、まだ現実に起こっていない未来に対しても心配してしまいます。過去への後悔、未来への心配を、全く無くすことはできないかもしれませんが、心の持ち方と行動次第で減らすことはできる。そのために、皆さんが持っている力は現在のために使うべきで、現在に最善を尽くすことが、後悔しないこと、心配しないことにつながる最も大切ことだと話しました。

 そこで今日は、現在に最善を尽くすためにはどうすることが大事なのか、次に皆さんに会うのは年明けになるのでそれを踏まえて話したいと思います。

 よく「一年の計は元旦にあり」と言います。この言葉の由来には諸説あり、1つ目は、中国の明代に憑慶京(ひょうおうきょう)という学者によって著された書物「月令広義(げつれいこうぎ)」です。月令広義は、中国の伝統的な年中行事やしきたりが解説されているもので、日本でおなじみの『七夕伝説』や『花咲か爺』の説話などはこの本が出典になっていると考えられています。そのなかにこの言葉の元になる文があります。「計」とは「計画」のことで「一年の計画は、年の初めである元旦に立てておくべきだ」「一年の最も初めの時間に、その一年全体の計画をしっかり立てることが、ものごとを成し遂げるには大切だと説いています。

2つ目は、毛利元就が記したとされる「一年の計は春にあり、一月の計は朔(ついたち)にあり、一日の計は鶏鳴にあり」という言葉にあります。元就は、正月三日間の儀式をとても大切にし、「何事も初めが肝心だ」と言ったそうです。例えば、元旦から朝寝坊して元旦の儀式をおろそかにするようではだめだと。元就は「一年の計は努力にあり」とも言っています。だから、月令広義に由来する「一年の計画を元旦に立てよ」とはちょっと違います。(ちなみに、元旦に起きたことで吉凶を占うのは間違いです。)

2つの由来には若干の違いはありますが、行き当たりばったりではダメだということです。まずはしっかり計画を立てて1年のスタートダッシュする方が良い結果につながるということです。年の初めには、誰もが新たな気持ちで「今年こそはこれを頑張ろう」と心に思うものです。実際は長続きしなかったり、結果もうまくいかなかったりするものですが、「目標を定めて努力すること」だけでも無駄ではありません。過去を悔いたり、未来への心配を少しでもなくしたりするためにも、最初が肝心です。現在に最善を尽くすために新年には是非「一年の計」に取り組んでみてください。

最後に、冬休み中も気を緩めることなくコロナ対策を実践し、3学期の始業式にはみんなで元気に会いましょう。

9/11(金) 朝礼のことば

 2学期最初の大きな行事である体育祭が無事終わりました。今年はコロナ禍でどんな体育祭になるか少し心配でしたが、先生方のアイディアと皆さんの取り組み、そして保護者の方々の協力のおかげで、例年に劣らない良い体育祭になったと思います。生徒の皆さんが、一生懸命走ったり演技したりする姿は、とても好感がもてました。何より皆さん自身が、精一杯やったことへの喜びや勝ち負けよりももっと大きな満足感を味わうことができたのではないかと思います。皆さんが一生懸命取り組み、成功した裏には、先生方の指導・サポートがあったことも忘れないでください。これから大人として社会に出ていく皆さんにとって、ひとつのことをやり遂げていく時、必ず誰かの支えと助けがあること、自分の頑張りをいつも温かく見守ってくれている人がいること、そしてそういう影の人への感謝の気持ちを、どこかできちんと伝えることができる人になって欲しいと思います。

さて、今月の学院のテーマは「協力」です。「協力」は、頼まれたこと、すべきことを皆とともに喜んですることであり、又一つの目標に向かっていろいろなアイディアを出し合い、より良いものをめざそうと積極的に行動することです。正に今回の体育祭で見せた姿です。「協力」とは、必ずしも自分が賛成していることにだけ協力すればいいというものでもありません。反対の立場でも全体のことを考えたときに協力しなければいけない時もたくさんあります。その時その時で、自分の置かれた立場、状況をよく見て、今自分が何をすることが、その目的のためになるのかを考え、判断する力がたえず求められています。それぞれの場面で、自分ができることを積極的に見つけ、みんなが一丸となって、私たちの学院を築いていくという意識で「協力」という言葉の意味を確かめる月にしてください。

 今学期は文化祭、開校記念ミサ、バザー、キャロルコンクールなど多くの行事が予定されています。そしてこれまで中止や延期になっていた運動部の試合や文化部の発表の場も少しずつ実施されていくことでしょう。今後のコロナの感染状況次第でどうなるかわからない部分も多々ありますが、皆さんは、いつでも全力を尽くせるよう、与えられた場所で準備や練習に励み、協力を惜しまない魅力的な光塩生なることを忘れないでください。

 朝晩涼しくなり、暑さの中にも秋の気配が感じられるようになりました。毎日の読書や勉強にも力を入れ、自分自身を豊かにする9月にしていきましょう。

9/6(日) 体育祭

体育祭、開催できました!

台風10号の接近、新型コロナ、熱中症と、さまざまなことが心配された今年の体育祭でしたが、朝から晴天に恵まれ、予定していた競技・演技のすべてを実施できました。

制限のある中でも生徒たちは笑顔!最後まで全力で楽しみました!

おはようございます。心配していた台風10号も皆さんの「体育祭がしたい」という熱い想いが届き、速度を緩めてくれました。そのおかげで今日無事に2020年度萩光塩学院体育祭が開催できることを大変うれしく思います。今年は新型コロナウイルスの影響で、あらゆる行事や大会が中止、延期となる中、学校としては、生徒の皆さんにとって思い出に残る行事は何とか実施していきたいと願ってきました。皆さんも、先行きが不透明で不安の多い中でも、心を乱されることなく、我慢強く、前向きに毎日を過ごし、体育祭の練習・準備でも、応援団を中心に精一杯取り組んでいました。私はそこに皆さんの揺るぎない強い意志を見ることができました。今日は、残念ながら来賓の方々にその姿をお見せすることはできませんが、逆に変にかしこまる必要もありません。遠慮なく、これまで悶々とためていた力を思う存分爆発させ、こんな時でも「私たちは元気なんだ」「前向きに頑張っているんだ」という姿を是非見せてください。期待しています。保護者の皆様、本日は早朝から体育祭にお越しいただきありがとうございます。今年は、新型コロナ感染防止のために様々な面で、ご不便をおかけする体育祭となります。しかし、今日の第一の目的は、生徒たちのために、まずは体育祭を無事に実施することです。保護者の皆様には、多くの制限をお願いしておりますが、どうかご理解とご協力をお願いいたします。その上で生徒たちが一生懸命頑張っている姿に大きな拍手を頂けたらと思います。それでは今日の体育祭が、皆様に元気と勇気を与えるものとなることを祈念して開会の挨拶といたします。

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皆さん、今日は暑い中大変お疲れ様でした。赤組も白組も応援団を、そして3年生を中心にみんなが団結し、熱のこもった戦いぶりを見せてくれました。優勝した白組の皆さん、おめでとうございます。そして残念ながら敗れたm赤組の皆さんも競技中の真剣な表情がとてもかっこよかったです。今ここから、皆さんの、全力を出し切った表情、充実した表情を見ていると体育祭を実施することができて本当に良かったと思います。今日の体育祭は、勝っても負けてもそれだけで大成功だったと言えるでしょう。生徒の皆さんは、今日の頑張りと熱い思いを忘れずに、これからの学校生活に生かしてください。本当にお疲れ様でした。また、保護者の皆様、本日は最後まで体育祭にご参加・ご協力いただきましてありがとうございました。生徒たちは今日皆様から頂いた声援と拍手を胸に秘め、これからの学校生活で日々努力してくれると信じております。本日は本当にありがとうございました。

8/26(水) 2学期始業式

 おはようございます。今日から2学期です。今年はいつもより短い夏休みでした。とにかくコロナの話題と猛暑が続いた夏休みで、テレビやネットのニュースもほとんどがその内容でした。皆さんはこの夏休みをどのように過ごしましたか?私を含め先生方は、自ら行動を制限し最低限の外出だけの毎日でした。みんなで感染防止の努力を怠らなかったおかげで、本校の生徒・教職員には新型コロナウイルスの感染はありませんでした。しかし全国的には、大学や高校のクラブの寮などでクラスターが発生し、まだまだ予断を許さない状況です。みなさんはこれからも油断することなく、三密を避けながら、さらに熱中症にも気をつけて、自分の身と友だちを守るための行動をとってください。
 いつもの夏だと、International Workshopを開催したり、修学旅行があったり、部活の大会があったりと生徒の皆さんの活躍を見たり、聞いたりすることができたのですが、今年はその機会もほとんどなく本当に寂しい夏でした。皆さんもきっと何か物足りない夏を過ごしたのではないでしょうか。しかし、私は1学期の終業式で、コロナ禍をきっかけに上昇気流に乗るか、下降気流に乗って落ちてしまうかは、皆さんの考え方と行動次第だと話しました。コロナ後の世界をより良いものにするため、今何をすべきか考えようとも話しました。先日、中3のサイパン修学旅行の止を決定しましたが、中学校の先生方は、既にそれに代わる次の活動を考え動き始めています。素晴らしい切り替えと行動力だと思います。

 さて、今日は、今後どうなるか予測できない不安な日々を頑張っているみなさんに話したいと思います。コロナ禍でみなさんはこれまでになく一人でいる時間が増えています。今は一人でいても情報入手や友達とのコミュニケーションはメールやSNSを使うことで可能です。しかし、中には過度にはまり込んでいる人がいるかもしれません。ある心療内科の先生が言われていたのですがSNSが発達した現代では、自分のことについて、他人からの承認を過剰に求める人が増えているそうです。日々の出来事を連日のように複数回投稿し、自分を精力的にアピールするだけでなく友達など他人の愚痴や怒りや不安までを他者に認めてもらおうとするそうです。そのような人は、控えめな行動が苦手であり、芯の弱い人だそうです。逆に、控えめだけど、芯の強い人というは、自分自身の価値観や判断基準というものをしっかり持っているからこそ控えめでいられるし、他人の意見によってフラフラと左右されない芯の強さが保たれているのだそうです。私は光塩で学んでいる皆さんには、3年間を通して、控えめでありながらも芯の強い人に育って欲しいと願っています。勿論、まだ成人に満たない中学・高校生ですから、迷いや不安、怒りなどをコントロールすることは簡単ではないでしょう。しかし、こんな時だからこそ控えめながらも、きっちりとやるべきことをブレずにやる芯の強い人に成長して欲しいのです。1学期の学校生活や夏休み期間の様子を見たり、また1学期末の保護者懇談の様子を先生方から聞いたりする限り、幸い、本校の生徒たちは、この不安な状況の中でも、多くの生徒が冷静に現実と向き合い、前向きで元気な話をしていると聞いています。自分を信じて努力を続けている芯の強い姿を想像して、少し嬉しく思っています。発明王のエジソンは電球を発明するのに1万回失敗したそうですが、「自分は失敗したとはない。1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」と言っています。皆さんも他人の無責任な意見や承認に頼らず、自分の目標に向かって、学校や家で質の良い学びを地道に心がけてください。そして日々様々な経験を積極的に積んでいくことを続けて、「控えめでありながらも芯の強い人」になってください。
 最後に、高3・中3の皆さん、今学期は進路決定の正念場です。夏休みには家族としっかり話し、進路について真剣に考えたでしょうか。いい加減な気持ちで将来を決めるのではなく、自分のめざした進路に向かって、最後まで全力でもがいてください。自分を高めようと日々悩み、その中であきらめずに苦しむことは、中学・高校時代には絶対に必要なことで、素晴らしいことです。いに自分の夢に近づくか。人はみんなそのために我慢し努力するのです。今学期は、自分を高めるために、さらに頑張る姿を見せてください。

8/6(木) 1学期終業式

 今日で1学期が終わります。1年生は、緊張の入学式から始まり、初めて出会う友だちとのかかわり、新しい勉強、そしてコロナの影響による長い休校と行事の変更など、慣れない学校生活の中での対応に少し疲れた1学期となったことでしょう。2年生、3年生も楽し みにしていた学校行事や部活の試合、大会がなくなってしまったことによる気持ちの切り替えは大変だったと思います。今年は、皆さんにとっても学校にとっても先の見えない、不安で大変な1学期でした。1学期を締めくくるにあたって、やはりコロナについて話しておかなくてはいけないと思います。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、歴史上でも稀に見る出来事ですが、人類は これまでも同じような感染症によるパンデミックを何度か経験してきました。中世ヨーロ ッパの人口の1/3、当時の世界人口の1/4が命を落とした黒死病(ペスト)や第一次世界大戦末期に世界中で約5000万人が死亡したスペイン風邪などがその代表例です。人類は、その都度その困難を乗り越えてきました。今回も間もなくワクチンや治療薬が開発され、コロナの封じ込めはできると思いますが、それまでの間私たちはどのように生活していかなければいけないのでしょうか? ドイツのシュタインマイヤー大統領は、国民向けのスピーチで次のように言いました 。「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、国と国、兵と兵が戦っている戦争ではな い。私たちの人間性が試されている。だから最高の姿を示そう」と。コロナに感染しない 、感染させないために、自分勝手な振る舞いをせず、他人を思いやり、自分の役割に誠実であること、さらにアフターコロナ時代をより良いものにするために、新しい生き方をみつけること。これはまさに、私たち一人ひとりが人間性のテストをされていると言えるでしょう。では、私たちは、この人間性のテストに合格するために今何をすべきなのでしょうか。 私たちがやるべきことを『守り』と『攻め』の2つの視点から考えてみました。過去に起きた ペストやスペイン風邪などのパンデミックを振り返ることによって、今何をするべきか多 くのヒントをみつけることができます。『守り』は過去から学ぶことができるのです。まずは、自分自身の守りとして、気を緩めないことが大事です。今では、「自粛に飽きた」「 コロナ疲れ」などの言葉も聞きますし、『Go toトラベルキャンペーン』で旅行に行く人、 レジャースポットや商業施設に行く人もいます。既に多くの人が自粛によるストレスを感じ、疲れがたまり始めていますが、そのストレスを身近な人にぶつけたり、他者を非難したりすることで解消しようとすることは、内側から『守り』を崩す行為になります。疲れている中で、どれだけ他者を思いやれるかが試されています。またある医療関係者は「感染症 と戦う唯一の方法は、誠実さだ」と言っています。医療現場の人たちは今、まさに誠実さ を持ってコロナと戦っています。医療関係者だけではありません。製造・物流・小売り・ 社会インフラに携わる人たちの誠実さなくしてステイ・ホームはできません。それぞれの 職種の人たちが、自分の仕事において、何ができるかを考えながら誠実に行動しています。 私たちも長期にわたり気を緩めず、疲れている状況でも誰も責めず、今できることを誠実に行う。これが、私たちがとるべき『守り』の姿勢です。 次に、『攻め方』は未来から考えましょう。私が言う攻め方とは、ワクチンや治療薬をつ くって直接コロナを打ち負かすことではなく、コロナによるマイナスをプラスにしていく ために、何ができるかを考えるということです。今、目の前で起きている出来事は、現時点の見方ではトラブルや問題としか考えられません。しかし「災い転じて福となす」ということわざのように、私たちの考え方や行動によって災難をうまく利用し、より良い状態にすることもできます。災いを福とするには、まず、状況に対して肯定的な見方をすることが 必要です。状況に対して「あー最悪だ」「困った」「早くこの状況が変わらないかなあ」 と受け身で否定ばかりするのではなく、「せっかくだから何かできないかな?」と物事を肯定的に見ることが大切です。例えば、「外出自粛だ。どこにも行けない。これは困った 」を「外出自粛だ。ちょうどよかった!家の片づけをしよう!」と考えてみると、普段で きなかったことや気づかなかったこと、さらには「ついでに、ここもやっておこう!」と 新しい発想やアイデアが生まれてきます。家族全員が家にいることが多い今、家事の役割 分担を決めたり、思い切った片付けをしたりするなど、より快適な家庭環境にするチャン スです。仕事で言えば、無駄な会議や承認プロセスを見直すなど、今まで変えられなかっ た働き方を大きく変えるチャンスです。ここで「それは無理でしょう」とか「今までのやり方を変えるのはちょっと......」と否定ばかりしてしまうと、災いをただやり過ごすだけになってしまいます。コロナ禍をきっかけに上昇気流に乗るか、下降気流に乗って落ちてしまうかは、この考え方次第だと思います。外出自粛という状況をチャンスと捉えれば、他にもいろいろなことが考えられるでしょう。このような状況だからこそ、変えるべきこと をしっかりと変えておけば、未来はさらに生きやすくなり、もしかするとコロナ後の世界 は、コロナ前より輝く世界になるかもしれません。これがコロナ時代の『攻め方』だと思います。 過去から学ぶ『守り』の思考と、未来を作り出す『攻め』の思考で、今何をすべきかを考え、私たちが試されている人間性のテストにみんなで合格していきましょう。 参考までに、1冊の本を紹介します。フランスのノーベル文学賞作家アルベール・カミューが書いた小説『ペスト』です。この物語は、フランスの 植民地であったアルジェリアのオラン市をペストが襲い、苦境の中、団結する民衆たちの姿を描いています。医者、市民、 よそ者、逃亡者と、登場人物はさまざまですが、民衆を襲うペストの脅威に、全員で助け あいながら立ち向かっていきます。 今、コロナとどう向き合えばよいかを考えている私たちが読んでおくべき本だと思いま す。 最後に、高3の生徒に伝えておきます。このような状況の中でも、夏休みを利用してしっ かり進路について考え、準備をしてください。今は、希望する進路先のオープンキャンパスに参加し、直接学校の様子を見ることができないかもしれませんが、できる限りの手段 を使って情報を収集し、自らの考えをもとに保護者や先生方としっかり相談して、最後は自分の責任において進路を決定してください。そして進路先の傾向と対策を考えながら学習してください。言い訳はできません。今できることをしっかりやりましょう。

10/4(金) 朝礼のことば

 10月になりましたが、台風の影響もあり、日中はまだまだ暑い日が続きます。しかし、朝晩の涼しさなど秋の気配もいたるところで感じられるようになりました。今月は中間テストがあります。少し心を落ち着かせて、時間を上手に使いながら、勉強に集中するようにしていきましょう。

 さて、今月の学院の目標は「信頼」です。皆さんは誰を信頼していますか。どんな人なら信頼できますか。少し考えてみてください。楽しいときだけ一緒で、苦しい時には逃げてしまうような人を信頼できますか。ラインやツイッターなどで人の悪口や陰口を言う人が信頼できますか。

 私たちはいつも人への要求ばかりが先にあります。よく「あの人は信頼できない」「先生なんて信用できない」と言います。しかし、そう言う前に、まず自分が信頼される人であるか、信頼される言動をとっているかどうか自分自身に問かけてみてください。

 今日は皆さんに、信頼される人になるために、特に大切な4つのことを伝えたいと思います。

 まず、1つ目は、「自分の間違いを素直に認める」ことです。間違いを正すという行動には、謙虚・誠実・償いの気持ちが込められています。失敗は自分にとってマイナスばかりではなく、その時の行動によっては、逆に不信を信頼に変えることができます。人間生きていればたくさん間違いを犯すものです。だからこそ間違えたことを素直に謝り、認めることも必要です。

 2つめは、「約束をきちんと守る」ことです。たとえ小さな約束であったとしても、やぶられた側からすれば大きな傷が生まれます。自分が信頼されるためには約束を守ることが大切です。

 3つめは、「自分中心に考えない」ことです。自分の損得がギラギラと出てしまうような人は信頼されません。自分のことだけでなく、かかわる相手のことを気遣うことが大切です。

 4つめは、「愚痴や悪口を言わない」ことです。ついつい、こぼしたくなる愚痴、悪口、誰かの批判。でも、度を過ぎると、信頼されなくなるので要注意です。

 さて、私たちはこれらのことができているでしょうか?私たち自身が信頼される人になっているでしょうか?私の場合は、特に人のために時間を使うことができる人、そしてそれを自慢せず陰から支えてくれる人、いわゆる自己犠牲ができる人を信頼します。私は、他の人にそれを求める前に、まず自分がそうでなければならないと強く思い行動しているつもりです。私にそれができていれば人から信頼され、私が口だけ、思いだけで何もできていなければ信頼されません。信頼されるかどうかは自分ではなく、人が判断するもので、それを得られるよう日々努力しなければいけません。

 このように、信頼とは、言葉で簡単に表現するものではなく、お互いが様々な犠牲を乗り越えながらきずいていくものです。もちろん一日でできるものではありません。日々の積み重ねから生まれてくるものです。信じていた人に裏切られたり、また人を裏切ってしまったりすることもあるでしょう。その中で、許すことと許されることを繰り返しながら、ゆっくりコツコツと積み上げていく以外には信頼関係を築くことはできません。まずは客観的に自分を見つめ、自分が発する言葉や態度の中に相手を傷つけるものがないか、振り返ってみましょう。そして相手を尊敬し、誠実に生きていくことを学ぶ10月にしていきましょう。

9/13(金) 朝礼のことば

 2学期最初の行事である体育祭が終わりました。体育祭では、普段の学校生活の中で見ることのできない皆さんの新たな一面と、一人ひとりの内に秘められているパワーを見ることができました。特に印象に残ったのは、リレーと応援合戦です。リレーでは、授業中にはあまり見ることができない必死な表情を見ることができました。応援合戦では、少し照れくさそうにしている人もいましたが、楽しそうな笑顔をたくさん見ることができました。また、それぞれの曲や太鼓に合わせたダンスや振り付け、体形移動などをたった数日で覚えたことにも驚かされました。中学生・高校生の皆さんには、まだまだ秘められた力があることに改めて気づかされました。さらに赤組・白組それぞれの応援や一体感はもちろんですが、それ以上に素晴らしかったのは、赤組が応援をしているときの白組の態度、白組が応援をしているときの赤組の態度です。相手の応援を静かに見るだけでなく、競っている相手を盛り上げ、活気づける姿はとても素晴らしいものでした。皆さんの姿から、今月の目標である「協力」とは、こうあるべきだと感じることができました。

 今回応援団として責任を持って取り組んだ人は、みんなをまとめ、物事を進めていくことの難しさを学んだと思います。また他の生徒たちが気持ちよく協力してくれた時のありがたさも知ったと思います。何事も得意・不得意に関係なく、悩み苦しみながら真剣に取り組み、相手の気持ちを汲み取って協力することは、人としてすごく魅力的なことです。光塩で学ぶ人はそんな魅力的な人であり続けてください。今年の応援合戦では、残念ながら負けてしまった白組ですが、団長として、真摯に、そして一生懸命取り組んだ三浦君、そして彼をサポートした団員の皆さんの協力は素晴らしかったと思います。

 学校行事は、楽しい、面白いためだけにあるものではありません。生徒の皆さんにとって学習以外でも活躍できる場を設定し、行事をとおして皆さんをより良く成長させていくためのものです。体育祭は終わりましたが、あの時の熱い思いと頑張りをこれからの学習の中でも必ず発揮してください。

 さて、先程も話しましたが、今月の学院のテーマは「協力」です。

 協力は、頼まれたこと、すべきことを皆とともに喜んですることであり、一つの目標に向かっていろいろなアイデアを出し合い、より良いものをめざそうと積極的に行動することです。自分が賛成していることにだけに協力すれば良いというものでもありません。反対の立場であっても、全体のことを考えたときに協力しなければいけないこともたくさんあります。その時その時で、自分の置かれた立場、状況をよく見て、今自分に何が求められているのかを考え、判断する力が必要です。

 今学期は開校記念ミサ、バザー、高2の修学旅行、キャロルコンクールなど多くの学校行事と、部活の試合や発表などが続き、皆さんそれぞれに活躍の場があります。与えられた場所で、自分ができることを見つけ、練習に励み、みんなが一丸となって、協力を惜しまない。そんな魅力的な光塩生になるよう努めていきましょう。

7/19(金) 終業式

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 おはようございます。今日で1学期が終わります。今年は例年より梅雨入りが遅く、7月に入っても過ごしやすい日が続きました。しかし、これからどんどん暑くなっていくと思います。体調をしっかり整えて暑い夏休みを健康的に乗り切ってください。

 さて、今日はまず「寓話()」について話したいと思います。寓話とは、擬人化した動物などを主人公に、教訓や風刺を織りこんだ物語のことです。日本の寓話の元祖はイソップ物語で、これには、人々が生活の中で生きていくための知恵がたくさん詰まっています。イソップ物語の作者はアイソーポスという今から約2600年前に生きた人物です。アイソーポスの英語読みがイソップとなり日本で広まりました。皆さんも一度は読んだことがあるでしょう。

 イソップ物語が日本で広く親しまれるようになったのは、明治時代に英語版の翻訳として紹介され、小学校の教科書に取り入れられるようになってからです。この中にアリとキリギリスやウサギとカメの話がありました。ここで、アリとキリギリスの話しを少し思い出してみましょう。

 『夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはヴァイオリンを弾き、歌を歌って過ごします。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探しますが見つからず、最後にアリたちに物乞いをし、食べ物を分けてもらおうとします。しかし、アリは「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え、死んでしまいます。』

 この物語は『苦痛や危険に遭わないためには、人はあらゆることにおいて不用意であってはならない』ということを説いています。この話が日本に紹介された時、最後の場面が少し変更されました。「アリは、怠けていたのはいけないことだと注意した上で、少しだけ食べ物を分け与える」という温情主義的に変わったのです。欧米の人達にこの話をすると「バカバカしい。それじゃ何のためにこの寓話を創る必要があるのか」と言うそうですが、当時の日本の人たちは、皮肉を言って追い返すという結末では、日本社会に受け入れられないと判断したのでしょう。日本人の和を尊ぶ習慣をよく反映していると思います。

 私たち人間の考え方というものは、自然や風土、伝統というものに強く影響を受けています。欧米の人達の「正義を守って事を進め、甘えは許さない」という考え方と、日本人の温情主義的な考え方、どちらが良いということではなく、その違いや違いの背景などをしっかりと理解することが大切です。今、その違いを超えて世界が一つになることが求められています。それがグローバル社会です。中・高校生の皆さんには、グローバルで多様な社会の中で生きていくために、ますますこのような力が求められます。夏休みにサイパンに行く中3の皆さん、2学期末にグアム・沖縄に行く高2の皆さんは、特にこのような点を意識し、学んで来てください。

 次に、関連したことをもう一つ。皆さんには、夏休み期間中に自分を律する力(セルフコントロール)を身につけて欲しいと思います。夏休みには、各教科の課題、課外、クラブ活動、学校行事、そして個人的にも色々な予定があると思いますが、一番大切なことは、この期間に、自分自身で取り組むべきテーマ、目標、そしてそれを達成するための具体的な方法を明確にすることです。特に中・高の3年生にとっては進路です。その実現・達成に向けて、生活・行動・時間の管理を自分自身で行ってください。人から言われるのではなく、自分自身でちゃんと管理できることが重要です。

 今日のふたつの話を簡潔にまとめて言えば、「自分がやるべきことをきちんと理解し、夏休みなどの余裕のある時に、しっかり将来に備えよ!」ということです。

 最後に、イソップ物語の作者であるアイソーポスの名言を一つ紹介します。

 「ある場所で不満を感じているものは、別の場所へ移っても、まず満足は得られない。」 今からおよそ2600年前の人物の言葉です。人間の本質は、今も昔もあまり変わりません。皆さんが、この言葉を毎日の生活の中で、上手にいかしてくれることを期待しています。

5/9(金) 朝礼のことば

 緑の美しい季節になりました。今年は、10連休という非常に長いゴールデンウィークでした。この間、平成から令和へと時代も変わりました。皆さんはどのように、またどのような気持ちでこの連休を過ごしたでしょうか?ゆっくり休んで新年度の緊張感からくる疲れをとった人、部活づけの毎日だった人、EGF収穫祭やカレドニアンスカイ歓迎セレモニーなどのボランティアに参加した人など、それぞれ充実した休みを過ごしたことと思います。20日からは、新年度最初の中間試験が始まります。一回のテストが自分の将来に大きく影響してきます。しっかり気持ちを切り替え集中して学習に取り組んでください。特に高校3年生にとっては、1学期に行われる2回の定期試験が、これからの進路決定にとって大きな意味を持ちます。必ず最高の結果が出せるように努力してください。

 さて、カトリック教会において5月は、聖母マリアを讃える月です。ヨーロッパでは、春の訪れを喜ぶお祭りとして、いたるところでマリア祭が行われます。5月3日には津和野でも聖母マリア像を担ぐ行列で有名な乙女峠祭りが行われ、本校の生徒がたくさん参加しました。乙女峠祭りは、明治初期に、政府によるキリスト教弾圧で亡くなった殉教者を追悼することを目的に行われていますが、昨年はこのすぐ後に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録され、今年は長崎・浦上地区から津和野町に送られ殉教した37名について、福者の認定を受けるための調査開始が宣言されました。これまでキリスト教についてよく知らなかった人でも、これからは観光などで、これらの歴史について触れる機会が増えてくると思います。せっかく光塩に入学してきたのですから、ぜひ一度乙女峠祭りに参加したり、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産について学んだりしてみてください。

 今月の学院の目標は「かかわり」です。毎年年度当初、特に新中1・高1の生徒からよく聞かれる言葉があります。それは「小学校の頃が良かった。中学校の頃が楽しかった。」というものです。全てが新しく慣れない環境での学校生活が始まってまだ間もない時なので仕方ありませんが、このように思う人は、新しい友だちや新たな出会いとまだまだ良いかかわりができていない人だと思います。皆さんは、これまで小学校や中学校で長い時間をかけ、良いかかわりをし、より良い環境をつくってきたと思います。だからこれまでの学校生活は楽しく充実していたのです。新たな環境をたった1ヶ月で判断するのではなく、まずは新たな出会いと前向きに、良好なかかわりを持つように行動してみてください。それができれば小学校・中学校の頃のような充実した学校生活がおくれるようになると思います。また反対に小学校・中学校時代にあまり良い思い出のない人は、これまでとかかわり方を変えるだけで、自分の世界が大きく変わってきます。新たな環境は自分を変えるチャンスでもあります。卒業する頃には、今のこの出会いが良かったと思えるようなかかわり方をしていってください。周りの人と良いかかわりをもつことはとても難しいことです。人とのかかわりは、自分が傷ついたり、相手を傷つけたりすることもあります。でも、かかわることから逃げていては、いつまでもお互いを理解し合うことはできません。自分が苦手だと思っている人と関わることを避けていては、相手も心を開いてくれません。強い心でコミュ二ケーションをとることによって、周りの人と良い人間関係ができるのだと思います。

 今月は、かかわりと自分を見つめることの両方を大切にする月にしていきましょう。

4/19(金) 朝礼のことば

 新年度が始まり2週間が経ちました。

 新入生の皆さんは、友だちや先輩、先生方の名前を少し覚えることができましたか?また、2年生・3年生の皆さんは、新しい学年としての自覚が芽生えてきたでしょうか?

 さて、今日は体育館での朝礼ですが、普段、光塩の朝礼はホールで行います。そして、毎週金曜日は、先生方の話しを聞き、聖歌を歌います。光塩では、この朝礼をとても大切にし、予鈴から本鈴までの2分間の沈黙は、一日の始まりにけじめをつける貴重な時間になっています。今日一日どのように過ごしたいか?前日の反省や今日一日の取り組み方を、しっかり考える時間として使ってください。

 また、生徒手帳5ページに学院の精神を具体化させる、毎月の目標が書いてあります。

 今月のテーマは「出会い」です。地球上にはたくさんの人間が存在し、たった一人の人間と出会う確率は、およそ65億分の1であると言われています。皆さん、今隣にいる人を見てください。その人とは、計り知れない確率で出会っているのです。この出会いには、必ず深い意味があります。他者との出会いは、「自分を幸せにしてくれるもの」だと考えがちですが、決してそれだけではありません。その出会いや関係のあり方からは、痛みや軋轢を生むこともあります。私自身もたくさんの出会いに対し、痛みや苦しみを繰り返してきました。その繰り返しによって最近、ようやく気づいたことがあります。それは、他者と出会うことは、自分を幸せにするだけではなく、自分を成長させるための気づきや学びだということです。その人と出会ったことで、自分の成長のために、何に気づき、何を学ばなければいけないのか。そのように自分自身に問いかけることで、出会いは深い意味を持つようになるのです。自分の心の柔らかさ、素直さによって、新たな発見や素晴らしい出会いがあります。これからも、皆さんが、ひとつひとつの出会いを大切にし、自分の成長につなげていくことを期待しています。

4/8(月) 入学式

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 柔らかな日差しのもと、生命()が躍動する希望の春を迎えました。

 只今入学を許可いたしました中学校十二名、高等学校六十五名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を心から祝福し、歓迎いたします。また保護者の皆様にも、お子様のご入学を心からお祝い申し上げます。
 さて、新入生の皆さん、皆さんは今、どんな中学校生活、高校生活を思い描いていますか。新しい環境・新しい友達とのかかわりに、少しばかりの不安を感じながら、これから始まる学校生活に大きな希望を抱いていることでしょう。私は、皆さんが光塩の生徒として、これからの中学・高校生活を有意義に送り、人間的に大きく成長することを願って、三つのことについて話したいと思います。

 まず一つ目は、皆さん一人ひとりは『尊い存在であり、かけがえのない存在』だということです。皆さんには、他人()とは違った素晴らしい能力と個性があります。これからは、他人と比較するのではなく、自分の中にきちんとした目標を設定し、自分に合った方法で自分の道を一歩一歩歩んでいくよう心がけてください。

 二つ目は、皆さんには、『光り輝く可能性がある』ということです。自分の内側に秘められた可能性を信じて、自分の素晴らしさとはいったい何であるかを探し求め、その可能性に向かって一生懸命に努力する人であってください。

 そして三つめは、この世界で皆さんは決して一人ではなく、『多くの人とのかかわりの中で、共に支え合いながら生きている』ということです。これからの学校生活の中で、学習面や人間関係などで困難な状況にあった時、家族はもちろん、友だちや先生方の支えによって窮地を脱し、その大切さを感じることがあるでしょう。そのときの想いを忘れず、人との繋がりの大切さを学ぶことができる人であってください。

 今話した三つのことは、決して三年間だけの探究に終わるものではなく、生涯かけて知り、求め続けていく事柄でもあります。光塩に入学したことをきっかけに、今日からその探究をはじめていって欲しいと思います。

 また本校では、学習に力を入れて取り組むことはもちろんですが、それ以外の学校行事、部活動、ボランティア活動、国際交流活動などもとても大事にしています。それは皆さんが幅広い活動をすることによって、多くの経験を積み、頭や体や心を鍛え、さらに人とのかかわりをとおして良い人間関係を築き、バランスの取れた豊かな人間として成長することができるようになるからです。自分が持っている良いものを伸ばし、ここで出会った友人の優れているところに学び、お互いを高め合うことのできる人になってください。

 先ほど読まれた『あなたたちは世の光です。あなたたちは地の塩です。』という聖書の言葉は、これからこの学院で学ぶ皆さんに対して、限りない期待と信頼をあらわした言葉です。皆さんが「世の光・地の塩」という本校の建学の精神に沿って、将来社会に貢献できる人となるよう共に歩んでいきましょう。

 保護者の皆様、今日から大切なお子様をお預かりすることになりました。大変嬉しく思うと同時に、大きな責任も感じております。これからは、一人ひとりの生徒が、秘めている力を思う存分発揮し、立派に成長できるよう、私たち教職員も全力を尽くしてまいります。ご協力をお願いすることもあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後になりますが、間もなく新しい元号『令和』の時代が始まります。その時に新入生の皆さん一人ひとりが、充実した学校生活を送り、明日への希望と共に、大きな花を咲かせていくことを祈って、お祝いの言葉といたします。

                                               二〇一九年 四月八日

                                    萩光塩学院中学・高等学校校長  中村 柔道

4/8(月) 始業式

h-20190408-1.jpg おはようございます。

 暖かい春の陽気に包まれて、2019年度が始まりました。新2年生・3年生に進級された皆さん、おめでとうございます。

 まず初めに、先ほど私は2019年度と言いました。既に皆さんも知っていることと思いますが、5月1日に皇太子さまが新しく天皇に即位され、新たな時代(元号)が始まります。進級したことに加え、間もなく始まる新しい時代に向けて、皆さん一人一人の表情がとても晴れやかで、そして、それぞれの学年に応じた決意も抱いているように見えます。もちろん新元号は何というか知っていますよね?新しい元号とともにその由来や意味もしっかり理解しておいてください。自分が中学生・高校生の時に、『平成』という時代から『令和』という時代に代わったという出来事は、一生の思い出になります。今のこの時の気持ち、この瞬間の出来事を忘れず新鮮な気持ちで、一年間、そして新しい時代を過ごしてください。

 さて、中3、高3の皆さんには、それぞれ中学・高校の最上級生として、学校行事や校友会活動・部活動など、その中心となって積極的に取り組んで欲しいと思います。また3年生は、自分の将来にかかわる進路決定という大きな目標を成し遂げなければなりません。各自が目標に向かって精一杯努力する年にしてください。
 中2、高2のみなさんは、中堅学年として、思う存分、自分を磨き、充実させる時です。3年生を助けるとともに、学校生活に慣れない1年生も助けてあげてください。毎年言っていることすが、萩光塩学院の1年を左右する重要な鍵を握っているのは2年生です。よろしくお願いします。 

 午後からの入学式には、12名の中学1年生と65名の高校1年生が入学してきます。新入生は、2年生・3年生を手本にして学校生活を送ります。良き手本となるように、先輩として立派な態度で迎えましょう。

 それでは、今日から新しいスタートです。皆さん一人ひとりが夢をもち、夢を膨らませ、夢が実現できるようにしっかりと勉強や部活動に取り組んでください。私たちも精一杯サポートしていきますので一緒に頑張っていきましょう。